旧車の為の道交法知識


今日を走るクラシックマスタング、今の車と違うのは何もデザインだけではありません。
赤ウィンカー、シートベルト、排ガスetc...ここでは気になるポイントを道交法に沿って項目ごとにチェックできます。



 旧車は安全に関する概念や構想が数十年も前のものです。現代の交通事情を考えると注意を要する点が多々あります。
旧車乗りはそれを理解し、自分も周囲も安全に走行できるように心掛けなくてはいけません。

なお旧車に適応される道交法は「概ねほぼ生産当時の規定に準ずる」ということです。思い込みで切符を切られても困るのでここで詳細に解説します。
記載内容に関しては項目別、年式別に表にし、 @保安基準 A適用整理 の2点から判断した内用となっています。

※記載内容は国土交通省記載の保安基準に準拠しています※
http://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/kokujitou_index.pdf
車内装備品に関する規定
項目 65年 66年 67年 68年 69年 70年 71年 72年 73年
運転席シートベルト 無し 無し 無し 無し 2点式 2点式 2点式 2点式 2点式
助手席シートベルト 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し
後部座席シートベルト 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し
このシートベルトに関する解釈は以下の文面を総合的に理解すると判断できます。

・保安基準:第22条第3項(一部抜粋)

 次の表(専ら常用の用に供する自動車に関する)に掲げる自動車には、当該自動車が衝突等による衝撃を受けた場合において、
同表に掲げるその自動車の座席の乗車人員が、座席の前方に移動することを防止し、又は上半身を過度に前傾する事を防止する
ため、それぞれ同表の下欄に掲げる座席ベルト及び当該座席ベルトの取付装置を備えなければならない。
@運転者席その他の座席であって前向きのもの…第2種座席ベルト(3点式シートベルト)
A前欄に掲げる座席以外の座席(つまり運転席)…第1種座席ベルト(2点式シートベルト)または第2種座席ベルト

この文面上から判断すると、
自動車は運転席に2点または3点式シートベルトを、その他の座席については3点式シートベルトを備えなさいと解釈できます。


・適用整理:第20条第4項(一部抜粋)

 昭和44年4月1日から昭和50年3月31日までに製作された自動車には、当該自動車の座席に係る第1種座席ベルトの
取付装置を備えなければならない。

この文面上から判断すると、
昭和44年4月1日から昭和50年3月31日迄に製作された自動車は全ての座席に2点式シートベルトを備えなさいと解釈できます。


・適用整理:第20条第6項(一部抜粋)
 
第4項の自動車の運転席(一般乗用旅客自動車運送事業の用に供する自動車以外の自動車で、昭和44年4月1日から同年9月30日
までに製作された専ら乗用の用に供するものおよび同年10月1日から昭和48年11月30日までに製作されたものあっては運転者席)及び
これと並列の当該自動車の側面に隣接する座席に係る同項の第1種座席ベルトの取付装置には第2項第3号イ、ハ及びニの基準に適合
する座席ベルトを備えなければならない。

この文面上から判断すると、
昭和44年4月1日から昭和48年11月30日迄に製作された自動車は運転席のみに2点式シートベルトを備えなさいと解釈できます。

 
これら全ての項目を総合的に判断すると昭和44年から昭和48年11月30日迄に製作された自動車は運転席に2点式シートベルトを、
昭和48年12月1日から昭和50年3月31日迄に製作された自動車は運転席と助手席にシートベルトを備えなさいという事になります。
なお昭和44年4月1日以前の自動車はシートベルトを備える必要は無いという判断になります。(適用整理:第20条第1項参照)

 ただし、シートベルトが既に取りつけられている場合は、シートベルトをしないと罰則に処される可能性大です。シートベルトがある場合は
必ずシートベルトの着用をしましょう。
運転席ヘッドレスト 無し 無し 無し 無し 有り 有り 有り 有り 有り
助手席ヘッドレスト 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し
このヘッドレストに関する解釈は以下の文面を総合的に理解すると判断できます。

・保安基準:第22条第4項(一部抜粋)
自動車の座席のうち運転者席及びこれと並列の座席には、他の自動車の追突等による衝撃を受けた場合において、乗車人員の頭部の
過度の後傾を有効に抑止し、かつ、乗車人員の頭部等に障害を与えるおそれの少ないものとして、構造等に関し告示で定める基準に
適合する頭部後傾抑止装置を備えなければならない。
ただし、当該座席事態が当該装置と同等の性能を有するものであるときは、この限りではない。

この文面上から判断すると、
運転席と助手席にはヘッドレストを設けなさいという事になります。またハイバックシートはヘッドレスト付きとみなすと解釈できます。

・適用整理:第21条第1項1号および第2項および第3項
第1項1号
自動車の座席のうち運転席及びこれと並列の座席には、次の基準に適合する装置を備えなければならない。
イ:他の自動車の追突等による衝撃を受けた場合において、当該自動車の乗車人員の頭部の過度の後傾を有効に抑止する
ことのできるものであること。
ロ:乗車人員の頭部等に障害を与えるおそれのない構造のものであること。
ハ:振動、衝撃等により脱落することのないように備えられたものであること。

第2項
昭和44年3月31日以前に製作された自動車
・・・第1項第1号の規定は適用しない。

第3項
昭和44年4月1日から昭和48年11月30日までに製作された自動車
・・・第1項第1号の「運転者席及びこれと並列の座席」を「運転者席」に読み替える。


 これらを整理して考えると昭和44年3月31日以前に製作された自動車はヘッドレストは不要、昭和44年4月1日から
昭和48年11月30日までに製作された自動車は運転的のみヘッドレストが必要という事になります。
車外装備品に関する規定
ハザード 無し 無し 無し 無し 有り 有り 有り 有り 有り
このハザードに関する解釈は以下の文面を総合的に理解すると判断できます。

・保安基準:第41条第3項第1号
自動車には、非常点滅表示灯を備えなければならない。ただし、2輪自動車、側車付2輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、
大型特殊自動車、幅0.8メートル以下の自動車並びに最高速度40キロメートル毎時未満の自動車並びにこれらによりけん引される
被けん引自動車にあっては、この限りでない。

・適用整理:第47条第1項第1号および第3号及び第2項から第4項
第1項第1号
上記の保安基準と同文。
第1項第3号

非常点滅表示灯は、前号に規定するほか次の基準に適合するものでなければならない。
イ:全ての非常点滅表示灯は、同時に作動する構造であること。
ロ:左右対称に取り付けられた非常点滅表示灯は、同時に点滅する構造である事。
第2項
昭和44年3月31日以前に製作された自動車
・・・第1号の規定は適用しない。

第3項
昭和48年11月30日以前に製作された自動車
・・・第1項第3号ロの「点滅」を「点滅し、又は光度が増減」に読み替える。

第4項(一部抜粋)

非常点滅表示灯は、制動灯が点灯している場合には、その操作装置を操作した状態においても点滅又は光度の増減を停止する構造
とすることができる。
同項3号・・・光度が増減するものは、車幅灯又は尾灯と兼用するものであること。
同項4号・・・光度が増減するものの最大光度は、当該車幅灯又は尾灯の光度の3倍以上であること。
同項5号・・・灯光の色は、黄色又は橙色であること。ただし、2輪自動車及び側車付2輪自動車以外の自動車にあっては、点滅を前方に
       表示するためのものについては白色又は乳白色、点滅を後方又は後側方に表示するためのものについては赤色とすること
       ができる。

この文面上から判断すると、
ハザードは昭和44年3月31日以前に製作された自動車は不要、昭和44年4月1日から昭和48年11月30日までに製作された
自動車はハザードが必要という事になります。
またハザード色はフロントはクリアまたはクリーム色の発光でよく、リアについては赤色でよい事になります。そしてそのどちらも
光度増減式の場合はスモール灯と兼用でなければならない事になります。ただし夜間でスモール灯が点灯している最中に
ハザードを使用するときは、ハザードはスモール灯の3倍の光度で光らなくてはなりません。つまりスモールが5Wならハザード
は15W以上です。
最後にブレーキペダルを踏んでいる最中に、ハザードを出した際の灯火の優先順位ですが、これはどちらが優先されても
よいという事になります。

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